「親の介護をしたくない」「自分の生活を犠牲にしてまで親の世話をするのは難しい」。そう感じたとき、親不孝なのではないか、法律上の義務に反するのではないかと、自分を責めてしまう人は少なくありません。しかし、親を大切に思うことと、自分自身が直接介護を担うことは別の問題です。
厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」や内閣府の「令和7年版高齢社会白書」を見ると、家族介護には長時間の拘束や仕事との両立など、見過ごせない負担が伴っています。2026年10月現在、介護保険サービスや施設への入居、きょうだいとの役割分担、仕事と介護の両立支援など、家族だけで抱え込まないための選択肢があります。法律上の扶養義務との違いも整理しながら、親の介護を無理なく手放すための具体策を解説します。
【本音と実態】親の介護をしたくないのは冷たいこと?理由と公的統計から考える

親の介護に抵抗を感じる理由は、人によって異なります。親との関係が良好であっても、介護を引き受けることに不安を感じる場合があります。
- 身体的な負担:入浴、排せつ、食事、移動の介助などが必要になり、自分の体力では対応しきれない。
- 精神的な負担:認知症による言動の変化や、親との衝突、介護がいつまで続くのか分からない不安がある。
- 過去の親子関係:虐待や過干渉、長年の確執などがあり、親の世話をすること自体が精神的苦痛になる。
- 仕事や家庭への影響:子育て、仕事、家計、自分の健康などを犠牲にしなければならないと感じる。
- きょうだい間の不公平:ほかのきょうだいが協力せず、自分だけが介護や手続きを引き受ける状況になっている。
- 経済的な不安:介護用品や通院、施設の利用料などが家計を圧迫するのではないかと心配になる。
これらの理由が重なると、「親のことは心配だけれど、これ以上は関わりたくない」という気持ちになることがあります。介護を望まない気持ちは、必ずしも親への愛情がないことを意味しません。自分の生活や心身を守りたいという、ごく現実的な反応でもあります。
令和4年国民生活基礎調査が示す家族介護の負担厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」を基にした内閣府の「令和7年版高齢社会白書」では、介護を必要とする人から見た主な介護者について、同居する人が45.9%を占めています。また、主な介護者の性別では女性が68.9%、男性が31.1%でした。
同調査では、同居している主な介護者のうち、介護に費やす時間が「ほとんど終日」と回答した人は19.0%でした。介護度が重くなるにつれて、負担の大きさが際立ちます。
- 要介護4:介護者の41.2%が「ほとんど終日」介護している。
- 要介護5:介護者の63.1%が「ほとんど終日」介護している。
加えて、家族の介護や看護を理由に離職した人は、2021年10月から2022年9月までの1年間で約10万6,000人に上りました。このうち女性は約8万人で、全体の75.3%を占めています。
これらの数値は、介護をする人全員が同じ負担を抱えていることを示すものではありません。しかし、家族介護が生活や就労に深刻な影響を及ぼし得ることは明らかです。「自分が頑張れば何とかなる」と考える前に、負担を外部に移す方法を検討する意味があります。
親への気持ちと、介護を引き受けるかどうかは分けて考える親に恩があるから、長男・長女だから、近くに住んでいるからといった理由だけで、介護の全責任を引き受ける必要はありません。自分にできることと、できないことを区別することが、現実的な対応の出発点になります。
例えば、直接の身体介護は専門職に任せ、本人の希望を確認したり、施設の契約や行政手続きに協力したりする方法があります。経済的な支援を検討する場合も、自分の生活費や扶養家族への責任を踏まえた判断が必要です。
親の介護を担わないという選択は、親の安全や必要な支援まで放棄することと同じではありません。家族だけで介護を完結させない仕組みをつくることが、本人と家族双方の生活を守ることにつながります。
【法律を正しく理解】親の介護義務はどこまで?介護を拒否できるのか
民法877条の扶養義務と、直接介護する義務は異なる親の介護を考える際に気になるのが、法律上の義務です。民法第877条第1項は、直系血族及び兄弟姉妹について、互いに扶養する義務があると定めています。親と子は直系血族に当たるため、親が生活に困窮している場合などには、子に扶養義務が問題となることがあります。
ただし、ここでいう扶養義務と、子どもが毎日親の家に通い、食事や入浴、排せつの介助を自ら行うことは同じではありません。民法に、成人した子どもが必ず自宅で親を介護しなければならないという一般的な規定があるわけではありません。
扶養義務の具体的な範囲や負担は、親の生活状況、資産や収入、扶養する側の収入、健康状態、家族関係などによって異なります。扶養義務者が複数いる場合、協議がまとまらなければ、家庭裁判所が事情を考慮して負担のあり方を判断することもあります。
したがって、「親の介護をしないと必ず逮捕される」「介護を拒否すれば直ちに違法になる」といった説明は正確ではありません。一方で、「親の介護は完全に法律と無関係だから、何も考えなくてよい」という理解も適切ではありません。
親の介護を拒否したい場合に確認すべきこと自分が直接介護を担えない場合は、次の点を切り分けて考えると、取るべき対応が見えやすくなります。
- 身体介護:自分で食事や入浴、排せつの介助をすることが難しい場合、訪問介護や施設などに支援を求める。
- 経済的な扶養:親の収入や資産、自分の生活状況を踏まえ、必要に応じて法律の専門家に相談する。
- 手続きや意思決定:介護保険の申請、サービス選び、契約などについて、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する。
- 親の安全確保:親が自力で生活できず、生命や身体に危険がある場合は、自治体や関係機関につなぐ。
特に注意したいのは、親が食事を取れない、必要な医療を受けられない、転倒や徘徊の危険があるなど、差し迫った問題が起きているケースです。自分で介護できないからといって、そのまま放置するのではなく、行政や専門職に対応を引き継ぐ必要があります。
虐待や深刻な家族間トラブルがある場合は、無理に親と接触を続ける必要があると決めつけず、地域包括支援センターや自治体の福祉窓口に事情を伝えてください。具体的な扶養義務や法的責任に争いがある場合には、弁護士などの法律専門家に相談するのが適切です。
「介護しない」と「支援につなげない」は別の選択介護を断ることと、親に必要な支援を確保しないことは区別できます。家族による直接介護を引き受けない場合でも、公的サービスや施設を利用し、専門職に支援を任せることは可能です。
自分の限界を明確に伝え、第三者を交えて今後の生活を考えることは、無責任な行動ではありません。親子関係や経済事情が複雑なほど、家族だけで結論を出さず、行政や法律の専門家を交えることが有効です。
【具体策を比較】親の介護をしないために利用できる介護保険サービスと相談先
親の介護を自分で担いたくない場合、最初に検討したいのが、介護保険サービスと地域の相談窓口です。親の状態や生活環境に応じて、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、施設入居などを組み合わせられます。
最初の相談先は地域包括支援センター地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが連携し、介護に関する相談、権利擁護、適切な制度やサービスへの紹介などを行っています。
厚生労働省によると、2025年4月末時点で、全国に5,487か所の地域包括支援センターがあり、支所に当たるブランチを含めると7,374か所です。
相談先は、原則として親が住んでいる地域を担当するセンターです。介護をするつもりがない場合でも、「自分では介護を担えない」「親との関係に問題がある」「仕事を続けながら対応するのは難しい」と率直に伝えて構いません。
介護サービス・相談窓口の役割と使い分け厚生労働省の介護保険制度の案内に基づき、主なサービスや相談先の役割を整理します。
| 関係者・サービス | 主な役割とつながり方 | 費用・利用時の注意点 |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 介護の初期相談、制度案内、必要に応じたケアマネジャーや関係機関の紹介 | 相談は無料。介護保険の申請方法も確認できる |
| ケアマネジャー | 要介護認定を受けた人のケアプラン作成やサービス事業者との調整 | 居宅介護支援のケアプラン作成費は原則として介護保険で給付される |
| 訪問介護 | ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や対象となる生活援助を行う | 原則1〜3割負担。介護保険で認められるサービス範囲に注意 |
| デイサービス | 日帰りで通所し、食事や入浴、機能訓練などの支援を受ける | 介護サービス費のほか、食費などが必要になる場合がある |
| ショートステイ | 短期間施設に宿泊し、介護や日常生活の支援を受ける | 介護サービス費に加え、食費や滞在費などがかかる |
| 介護施設 | 自宅での生活が難しい場合などに、住まいと必要な介護を確保する | 施設の種類や所得、居室、介護度によって費用が大きく異なる |
介護保険サービスの利用には、原則として市区町村への要介護・要支援認定の申請が必要です。申請後は認定調査や主治医意見書などを踏まえて認定が行われ、その結果に応じてケアプランの作成やサービス利用へと進みます。
申請は親本人だけでなく、家族などが手続きを支援できる場合もあります。手続きの進め方が分からない場合は、地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当窓口に確認してください。
ケアマネジャーには「家族が介護できない」と伝えてよいケアマネジャーは、本人の心身の状態や生活環境、希望などを踏まえ、必要な介護サービスを組み合わせる専門職です。家族がどこまで介護できるかも、ケアプランを考えるうえで重要な情報になります。
相談時には、「仕事があるため平日の対応はできない」「同居や身体介護は難しい」「家族関係の問題があり、頻繁に訪問できない」といった事情を具体的に伝えましょう。できないことを曖昧にすると、実現できない介護計画につながるおそれがあります。
ただし、ケアマネジャーがすべての介護を引き受けてくれるわけではありません。介護保険で利用できるサービスには範囲や回数などの条件があるため、訪問介護や通所サービス、施設などを組み合わせ、足りない支援についても相談することが必要です。
【きょうだいとの分担】親の介護を一人で背負わないための話し合い方
親の介護をめぐっては、きょうだいが複数いても、近くに住んでいる人や仕事の融通が利く人に負担が集中することがあります。「長男だから」「娘だから」「実家の近くに住んでいるから」といった理由だけで、介護の大部分を引き受ける必要はありません。
介護の分担は、訪問回数だけで決めないきょうだい間の公平性を考えるとき、介護に関わる時間だけで負担を比べると、実態を見落とすことがあります。遠方に住むきょうだいでも、費用の負担や行政手続き、施設探し、通院予約、緊急時の連絡などを担当できる場合があります。
例えば、次のような役割分担が考えられます。
- 近くに住むきょうだい:必要に応じた訪問、生活状況の確認、専門職との連絡。
- 遠方に住むきょうだい:介護サービスや施設の情報収集、書類の整理、オンラインでの打ち合わせ。
- 経済的に余裕のあるきょうだい:本人の資産状況や各自の生活事情を踏まえ、必要な費用負担を協議する。
- 全員で行うこと:親の希望の確認、緊急時の連絡体制、サービスの方針決定。
上記はあくまで分担の例です。経済的な負担を誰がどれだけ担うかは、それぞれの収入や家庭事情などによって異なります。きょうだいだからといって、全員が同額を負担しなければならないと一律に決まっているわけではありません。
「できる人がやる」ではなく、担当と限界を明確にする家族間の話し合いでは、「協力してほしい」という曖昧な依頼よりも、具体的な担当を決める方が実行につながります。「毎週の訪問は難しいが、施設の比較と費用の確認は担当できる」「身体介護はできないが、月に一度の打ち合わせには参加する」といった形で、自分ができることとできないことを整理しましょう。
話し合いで決まった内容は、メッセージや書面などに残しておくと、後から認識の違いが生じにくくなります。親の状態が変わったときに、分担を見直す日程も決めておくとよいでしょう。
話し合いが進まない場合は第三者を交えるきょうだいが介護に協力しない、過去の家族関係が影響して冷静に話し合えないといった場合、家族だけで解決しようとすると、対立が深まることがあります。
地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、必要な介護サービスや今後の生活設計を第三者と一緒に検討する方法があります。扶養費用の負担など、法律上の争いが生じている場合には、弁護士や家庭裁判所への相談も選択肢になります。
大切なのは、家族全員が納得するまで介護サービスの利用を先送りしないことです。家族の話し合いと、親に必要な介護を確保することは、並行して進められます。
【施設と費用を比較】親を介護施設に入れる手続きと選び方
自宅での介護を続けることが難しい場合、施設への入居は現実的な選択肢です。ただし、介護施設には複数の種類があり、入居条件、受けられる支援、費用、待機状況などが異なります。施設を検討する際は、月額費用だけでなく、本人の状態に合った介護を受けられるかどうかも確認しましょう。
特別養護老人ホームと有料老人ホームの違い特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護が必要で自宅での生活が難しい高齢者を対象とする公的性格の強い施設です。新規入所は原則として要介護3以上ですが、一定の要件に該当する要介護1・2の人が特例的に入所できる場合もあります。
介護老人保健施設(老健)は、リハビリテーションなどを通じて在宅復帰を目指す施設です。長期の生活の場として利用する施設とは役割が異なります。
介護付き有料老人ホームは、施設が介護サービスを提供するタイプです。住宅型有料老人ホームは、住まいを中心としたサービスを提供し、介護が必要な場合には外部の介護サービスなどを利用する形が一般的です。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、安否確認や生活相談などを基本とする高齢者向けの住まいで、介護サービスの内容は住宅ごとに異なります。
2026年に施設費用を考えるときの注意点施設の費用は、入居一時金の有無、家賃、食費、管理費、介護サービスの自己負担額、医療費、日用品費などによって変わります。同じ種類の施設でも、地域や居室、提供サービスによって料金は大きく異なります。
厚生労働省の介護保険部会で扱われた「令和6年度高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究」では、2024年の調査対象について、介護付き有料老人ホームの月額費用の平均は約26万1,510円、住宅型有料老人ホームは約11万8,020円、介護サービスを包括提供しないタイプのサ高住は約15万3,952円とされています。
これらは、家賃、共益費、基本サービス費、食費、光熱水費などを合計した月額費用であり、介護サービスや医療サービスの自己負担分を含みません。また、調査対象となった住宅の平均値であり、すべての施設に当てはまる金額ではありません。
介護保険サービスの利用者負担は、原則として費用の1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です。施設を利用する場合は、介護サービス費のほかに居住費、食費、日常生活費なども必要になります。
所得などの条件を満たす人には、施設の食費・居住費を軽減する制度や、高額介護サービス費などの負担軽減制度が用意されています。費用を比較するときは、施設の提示額だけでなく、利用できる軽減制度も含めて確認することが大切です。
親を施設に入れるまでの流れ施設入居を検討する際は、次の手順で進めると整理しやすくなります。
- 親の希望と現在の状態を確認する:自宅での生活を続けたいのか、施設を希望するのか、どのような介護や医療が必要なのかを把握する。
- 地域包括支援センターなどに相談する:介護認定の状況や利用できるサービス、入居先の候補について情報を集める。
- 候補施設を比較する:入居条件、空室、月額費用、介護・医療体制、退去条件などを確認する。
- 本人や関係者と契約内容を確認する:入居費用やサービス内容、支払い方法、契約者・保証人の役割などを確認する。
- 入居準備とサービスの引き継ぎを行う:必要書類、薬、医療情報、日常生活に必要な物品などを整理する。
親に判断能力があり、意思を伝えられる場合は、本人の希望を尊重して話し合うことが大切です。親の認知症などにより契約や財産管理の判断が難しい場合は、地域包括支援センターや専門職に相談し、必要に応じて成年後見制度なども検討します。
また、特養などは入居を申し込んでもすぐに入れるとは限りません。施設への申し込みと並行して、訪問介護やショートステイなどを利用し、自宅での生活を支える方法も検討しましょう。
【限界を感じたら】介護疲れ・介護離職を防ぐ2026年の支援制度
親の介護に疲れ、心身ともに限界を感じている場合は、家族の努力だけで解決しようとしないことが重要です。介護をする側が体調を崩したり、仕事を失ったりすれば、結果として介護を必要とする親の生活にも影響が及びます。
介護疲れが限界に近づいているサイン次のような状況が続いている場合は、介護の方法や分担を見直す目安になります。
- 睡眠時間が確保できず、仕事や日常生活に支障が出ている。
- 親と接するたびに強い怒りや不安を感じ、気持ちを抑えられなくなる。
- 自分の通院や休息、家族との時間を継続的に犠牲にしている。
- 介護に関する支出が増え、生活費や将来の資金に不安を感じている。
- 介護のことを誰にも相談できず、すべてを自分で処理しようとしている。
こうした状態では、介護サービスの追加、ショートステイの利用、施設入居の検討、きょうだいとの分担の再調整など、介護の負担そのものを減らす対策が必要です。精神的な不調や体調不良が続く場合は、医療機関などへの相談も検討してください。
介護休業は「自分が介護を続けるため」だけの制度ではない働きながら介護をしている人は、育児・介護休業法に基づく介護休業や介護休暇などを利用できる場合があります。介護休業は、介護をする本人が長期間にわたって直接介護を担い続けるためだけの制度ではありません。介護サービスの手配や施設探し、家族間の調整など、介護体制を整えるためにも活用できます。
厚生労働省の介護休業制度によると、対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限に分割して介護休業を取得できます。一定の要件を満たす雇用保険の被保険者には、介護休業中に休業開始時賃金日額の67%相当額を基準とする介護休業給付金が支給されます。
また、介護休暇は、対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できます。日単位だけでなく時間単位で取得できる場合もあります。具体的な取得条件や職場での手続きは、勤務先の人事・労務担当者やハローワークに確認してください。
2025年の法改正で、仕事と介護の両立支援が強化2025年4月1日から、改正育児・介護休業法に基づき、事業主には介護離職を防ぐための雇用環境整備や、介護に直面した労働者への制度の個別周知・利用意向の確認などが義務付けられました。労働者が介護に直面する前の段階で、制度について早期に情報提供することも求められています。
介護のために仕事を辞めるしかないと考えている人は、まず勤務先に利用できる制度を確認しましょう。介護休業だけでなく、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、勤務先の独自制度などを組み合わせられる場合があります。
2026年最新の介護保険制度をめぐる動き2026年10月26日に開かれた厚生労働省の第137回社会保障審議会介護保険部会では、介護保険制度の持続可能性を確保するための給付と負担、要介護認定などが議題となりました。2026年は、今後の制度運営や負担のあり方をめぐる検討が続いています。
ただし、審議会で議題になったことと、制度改正がすでに決定・施行されていることは別です。介護サービスの利用条件や費用負担に関する変更は、厚生労働省や自治体の正式な案内で確認する必要があります。
現時点で利用を検討できる主な支援は、地域包括支援センターへの相談、介護保険サービス、所得などの条件に応じた負担軽減制度、介護休業・介護休暇などです。制度が変わるのを待つのではなく、今使える支援を確認することが、介護疲れや介護離職を防ぐ第一歩になります。
【プロの結論】介護の責任を一人で抱えない仕組みを先につくる親の介護をしたくないと感じたとき、最初に決めるべきことは「自分が我慢して介護を続けるかどうか」ではありません。自分が担える範囲を明確にし、担えない部分を誰に引き継ぐかを具体化することです。
介護の負担を減らす方法は、状況によって異なります。身体介護が難しいなら訪問介護や施設を検討し、短期間でも休息が必要ならショートステイを活用する。きょうだいとの調整が難しい場合は、第三者を交えて役割を決める。仕事を辞めることに迷っているなら、勤務先の両立支援制度を先に確認する。こうした選択肢を組み合わせることで、介護を一人で抱え込まずに済む可能性があります。
親の介護を自分で行わないことと、親の生活を守ることは両立できます。無理を続けることだけを親孝行と考えず、本人の希望、自分の生活、法律上の責任、利用できる支援を分けて考えることが、長期的に続けられる介護体制につながります。
【親の介護をしたくない】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:親の介護をしないと法律違反になりますか?
A1:民法第877条には直系血族などの扶養義務がありますが、成人した子どもが必ず自分で身体介護をしなければならないという一般的な規定はありません。ただし、扶養義務の具体的な範囲は家庭の状況などによって異なります。法的な問題がある場合は、弁護士などに相談してください。
Q2:親の介護をしたくない場合、まずどこに相談すればよいですか?
A2:親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターが最初の相談先になります。介護保険の申請、ケアマネジャーの紹介、訪問介護やデイサービス、施設などの利用について相談できます。親との関係に問題がある場合や、自分が介護を担えない事情も率直に伝えましょう。
Q3:親を介護施設に入れるには、いくらかかりますか?
A3:施設の種類や地域、居室、サービス内容などによって異なります。2024年の調査対象では、介護付き有料老人ホームの月額費用の平均は約26万1,510円、住宅型有料老人ホームは約11万8,020円、介護サービスを包括提供しないタイプのサ高住は約15万3,952円でした。これらは介護・医療サービスの自己負担分を除く金額です。介護保険の負担割合や所得に応じた軽減制度も含めて比較してください。
親の介護をしたくないと感じることは、必ずしも冷たいことではありません。介護には、身体的・精神的な負担だけでなく、仕事や家計、家族関係への影響も伴います。公的統計でも、長時間の介護や介護離職など、家族介護が生活に大きな影響を及ぼす実態が示されています。
2026年現在、親の介護を一人で抱え込まないために、地域包括支援センターへの相談、介護保険サービスの利用、ケアマネジャーとの調整、きょうだいとの役割分担、介護施設の検討、仕事と介護の両立支援制度などを活用できます。
まずは、自分ができないことを明確にし、親の生活を支えるために必要なサービスを相談するところから始めてください。直接介護を担うことだけが親を支える方法ではありません。自分の生活と健康を守りながら、専門職や公的制度につなぐことも、現実的で大切な選択です。