全国菓子大博覧会とは、全国各地の和菓子・洋菓子が集まり、菓子職人の技術や地域独自の食文化を紹介する、日本の菓子業界を代表する博覧会です。1911年に東京で始まった歴史ある催しで、菓子の展示・販売だけでなく、優れた商品や工芸作品を表彰する品評会としても知られています。
2026年10月現在、注目すべき最新情報は、2025年の「第28回全国菓子大博覧会・北海道 あさひかわ菓子博2025」が延べ26万1,336人の入場者を記録し、次回の第29回大会が2029年に岐阜県大垣市で開催されることです。この記事では、歴代開催地、名誉総裁賞などの受賞菓子、工芸菓子の魅力、開催周期や入場料まで、公式発表と公的機関の資料を基に整理します。
【全国菓子大博覧会とは?】開催目的・開催周期・品評会の仕組みを解説

全国菓子大博覧会は、単なるお菓子の販売イベントではありません。全国の菓子職人やメーカーが培ってきた製造技術、地域に根差した銘菓、和菓子・洋菓子の芸術性を広く紹介し、日本の菓子文化を次世代へ引き継ぐ役割を担っています。
1911年の品評会から始まった100年以上の歴史全国菓子大博覧会の起源は、1911年(明治44年)に東京で開かれた「第1回帝国菓子飴大品評会」です。農畜産業振興機構の解説によると、第1回には2,506点の菓子が出品され、ようかんなどの棹物をはじめ、ビスケット、ボーロ、あめ菓子、落雁、金平糖、カステラなど、当時の多様な菓子が集まりました。
1919年の第3回大阪大会から「全国菓子飴大品評会」という名称になり、1935年の第10回仙台大会から現在の「全国菓子大博覧会」の名称が使われるようになりました。戦争による中断を経験しながらも、全国の菓子業界の取り組みによって開催が続けられています。
主催の中心となる全国菓子工業組合連合会運営の中心となるのは、全国の菓子業界を結ぶ全国菓子工業組合連合会と、開催地域の菓子工業組合などです。開催地の自治体や地域の関係団体も協力し、菓子産業の振興、観光誘客、地域経済の活性化につなげています。
開催地が変わるたびに、その土地の農産物や歴史、食文化を生かした企画が展開されるのも特徴です。2025年の北海道大会では、牛乳、小麦、小豆、もち米、てん菜など、北海道の菓子原材料としての強みがテーマの背景にありました。
開催周期は約4年に1度。ただし固定ではない全国菓子大博覧会は、一般に約4年に1度開催されてきました。ただし、必ず4年ごとに開かれる制度ではありません。2017年の「お伊勢さん菓子博2017」から第28回の「あさひかわ菓子博2025」までは、新型コロナウイルス感染症の影響などで延期が続き、8年の間隔が空きました。
したがって、次回開催年を予測するときは、過去の開催間隔だけで判断するのではなく、全国菓子工業組合連合会や開催協議会による正式発表を確認することが大切です。
【歴代開催地一覧】第1回東京大会から第29回大垣大会まで
全国菓子大博覧会は、東京や大阪といった大都市だけでなく、金沢、岐阜、松山、鹿児島など、全国各地を巡ってきました。以下は、全国菓子工業組合連合会の公開資料と第28回大会の公式案内に基づく開催年・開催地の一覧です。
| 回次・開催年 | 開催地・大会名 | 歴史上のポイント・関係性 |
|---|---|---|
| 第1回・1911年 | 東京 | 「帝国菓子飴大品評会」として開催。全国菓子博覧会の起点。 |
| 第2回・1912年 | 金沢 | 東京に続き、地方都市で開催。 |
| 第3回・1919年 | 大阪 | 「全国菓子飴大品評会」の名称が使われるようになった大会。 |
| 第4回・1921年 | 広島 | 戦前の全国巡回開催の一環。 |
| 第5回・1923年 | 福岡 | 九州での開催。 |
| 第6回・1926年 | 京城 | 当時の開催地表記。現在のソウルに当たる。 |
| 第7回・1928年 | 岐阜 | 今回の第29回大会につながる、岐阜県での過去の開催。 |
| 第8回・1931年 | 松山 | 四国での開催。 |
| 第9回・1933年 | 新潟 | 日本海側の都市で開催。 |
| 第10回・1935年 | 仙台 | 現在の「全国菓子大博覧会」という名称に移行。 |
| 第11回・1939年 | 大分 | 戦前の開催期に当たる大会。 |
| 第12回・1952年 | 横浜 | 戦後の開催再開期に当たる大会。 |
| 第13回・1954年 | 京都 | 伝統的な菓子文化を持つ都市で開催。 |
| 第14回・1957年 | 長崎 | 九州での開催。 |
| 第15回・1961年 | 名古屋 | 中部地方で開催。 |
| 第16回・1965年 | 秋田 | 東北地方で開催。 |
| 第17回・1968年 | 札幌 | 北海道での第28回大会以前の開催。 |
| 第18回・1973年 | 鹿児島 | 南九州で開催。 |
| 第19回・1977年 | 静岡 | 東海地方で開催。 |
| 第20回・1984年 | 東京 | 東京での再開催。 |
| 第21回・1989年 | 松江 | 島根県で開催。 |
| 第22回・1994年 | 金沢 | 第2回に続く金沢での開催。 |
| 第23回・1998年 | 盛岡 | 「東北・夢の菓子博いわて98」として開催。 |
| 第24回・2002年 | 熊本 | 九州での開催。 |
| 第25回・2008年 | 姫路 | 「姫路菓子博2008」として開催。 |
| 第26回・2013年 | 広島 | 「ひろしま菓子博2013」として開催。 |
| 第27回・2017年 | 三重県伊勢市 | 「お伊勢さん菓子博2017」。第28回まで8年間の間隔が空いた。 |
| 第28回・2025年 | 北海道旭川市 | 「あさひかわ菓子博2025」。延べ26万1,336人が来場。 |
| 第29回・2029年予定 | 岐阜県大垣市 | 2026年8月に開催地決定を発表。開催予定期間は9月14日~30日。 |
歴代開催地を見ると、開催地の選定は、全国の菓子文化を紹介するだけでなく、地域に新たな観光・産業振興の機会を生み出してきたことが分かります。岐阜県は1928年の第7回大会以来、約1世紀ぶりに全国菓子大博覧会を迎えることになります。
【あさひかわ菓子博2025の実績】来場者数・入場料・見どころを振り返る
第28回全国菓子大博覧会・北海道「あさひかわ菓子博2025」は、2025年5月30日から6月15日までの17日間、北海道旭川市で開催されました。テーマは「SMILE SWEETS HOKKAIDO」。北海道の素材や地域の菓子文化を紹介しながら、全国のお菓子を見て、体験し、購入できるイベントとして展開されました。
延べ26万1,336人が来場。目標の20万人を上回る全国菓子工業組合連合会の開催報告によると、延べ入場者数は26万1,336人で、当初の目標20万人を上回りました。内訳は、メイン会場の大雪アリーナが15万2,980人、全国スイーツマーケット会場が10万8,356人です。なお、これは延べ入場者数であり、実人数を示す数字ではありません。
メイン会場では、全国の菓匠が制作した大型工芸菓子約90作品の展示や、お菓子をテーマにしたプロジェクションマッピングなどを実施。隣接する全国スイーツマーケットでは、各地の地域限定菓子を含む商品が販売されました。
業界誌「豆類時報」に掲載された実行委員長の開催報告では、全国スイーツマーケットの売上は目標の3億円を上回る約4億7,000万円に達したとされています。一方、長時間の入場待ちや品切れ、レジ待ちが発生したことも報告されており、人気商品の集中や販売動線の確保が今後の運営課題として浮かび上がりました。
2025年の入場料はいくらだった?あさひかわ菓子博2025の公式チケット案内では、通常入場券の料金は次のとおりでした。これらは終了した2025年大会の料金であり、2029年の大垣大会に適用される金額ではありません。
- 大人:前売り1,200円、当日1,500円
- 中学生・高校生:前売り1,000円、当日1,200円
- 小学生:前売り600円、当日800円
- 小学生未満:無料。ただし保護者の同伴が必要
2026年は全国菓子大博覧会の開催年ではありません。次回大会のチケット料金や券種については、2029年大会の公式発表を待つ必要があります。
【全国菓子大博覧会の受賞菓子】名誉総裁賞と工芸菓子の価値
全国菓子大博覧会の大きな見どころが、一般菓子の品評会と工芸菓子の展示・表彰です。一般菓子では、全国から出品された商品を対象に機関賞などが選ばれます。2025年大会では約1,200点の応募菓子から、名誉総裁賞、内閣総理大臣表彰、農林水産大臣賞などの受賞が決まりました。
名誉総裁賞は、一般菓子と工芸菓子の双方で注目される賞名誉総裁賞は、全国菓子大博覧会で特に注目される賞の一つです。2025年大会では、一般菓子部門と工芸菓子部門のそれぞれで受賞作品が発表されました。一般菓子部門の受賞一覧には、昔ながらの銘菓から地域の素材を生かした新しい商品まで、多様な菓子が並んでいます。
2025年大会で名誉総裁賞を受賞した一般菓子の代表例は、次のとおりです。
- かもめの玉子ミニ:岩手県のさいとう製菓が出品した商品。
- 光の朝 みるく:さいとう製菓の出品菓子。
- 榮太樓飴2缶入(梅ぼ志飴・黒飴):榮太樓總本鋪の伝統的な飴菓子。
- マスカットきびだんご:岡山県の敷島堂が出品した、地域性を生かした菓子。
- 北の散歩道 ハスカップ:北海道の素材を取り入れた、もりもとの菓子。
- 亀甲せんべい:いたに萬幸堂のせんべい。
このほかにも、名誉総裁賞以外の賞として、農林水産大臣賞、厚生労働大臣賞、外務大臣賞、中小企業庁長官賞、観光庁長官賞、金菓賞、技能優秀賞などが設けられています。賞の名称や対象は部門によって異なるため、受賞菓子を調べる際は、商品名だけでなく賞の種類も確認すると理解しやすくなります。
工芸菓子とは?食べるためだけではない菓子職人の芸術工芸菓子は、白あん、砂糖、米粉などの菓子材料を使い、花鳥風月や自然の景色、動植物などを表現する観賞用の作品です。通常の菓子とは異なり、味わうことだけでなく、造形、色彩、細部の表現、素材を扱う技術などが作品の見どころになります。
2025年大会で名誉総裁賞を受賞した作品の一つが、宗家 源 吉兆庵の「花美麗鳥(かびれいちょう)」です。KSB瀬戸内海放送の報道によると、牡丹の花と2羽のクジャクを題材に、クジャクの飾り羽約7,300個、牡丹の葉約2,600枚などを組み合わせ、職人4人が手作業で制作しました。構想から完成まで約1年を要したと報じられています。
また、公式の工芸菓子出展一覧には、「秋麗」「瑞彩」「雅」「未来光道」「阿波の国から」など、名誉総裁賞を受賞した作品が掲載されています。こうした作品は、和菓子が食品であると同時に、高度な造形技術を伝える文化でもあることを示しています。
品評会は何を競うのか全国菓子大博覧会の品評会を理解する際に重要なのは、一般菓子と工芸菓子を分けて考えることです。一般菓子では商品単位で受賞結果が公表され、工芸菓子では制作作品ごとに作品名や制作者、受賞名が発表されます。
受賞店や業界団体の説明では、一般菓子の評価には品質や独自性、地域性などが関わるとされています。ただし、個々の賞について、審査項目ごとの配点や採点表がすべて一般向けに公開されているわけではありません。そのため、「名誉総裁賞を受賞した商品が、すべての消費者にとって最もおいしい菓子である」と理解するのは適切ではありません。
受賞歴は、菓子職人やメーカーが技術や商品づくりを磨いてきたことを知る手掛かりです。購入する際は、賞の有無だけでなく、原材料、食感、甘さ、地域性、保存方法など、自分の好みに合うかどうかも判断基準にするとよいでしょう。
【2026年最新】第29回全国菓子大博覧会は2029年に岐阜県大垣市で開催へ
2026年8月21日、栄光堂ホールディングスが公表した開催地決定の発表によると、全国菓子大博覧会協議会は、第29回全国菓子大博覧会の開催地を岐阜県大垣市とすることを決定しました。開催予定期間は2029年9月14日から9月30日までの17日間です。
大会名称は「第29回全国菓子大博覧会 岐阜・大垣(仮)」、愛称は「ぎふ菓子博in大垣2029(仮)」と発表されています。開催地と予定期間は公表されていますが、名称には仮称が付いており、今後の正式発表にも注目が必要です。
テーマは「世界に届け!にほんのおかし-伝統とイノベーション-」第29回大会のテーマは「世界に届け!にほんのおかし-伝統とイノベーション-」。コンセプトは「むすびの地 大垣から 日本のお菓子で世界を結ぶ」です。
発表された基本方針には、持続可能な開催モデルの構築、岐阜県や中部地域の菓子文化の発信、地域活性化、訪日外国人旅行者への対応、デジタル技術を活用した運営、子どもたちや次世代の担い手の育成などが盛り込まれています。
開催会場は大垣市総合体育館など発表資料では、大垣市総合体育館をメイン会場とし、ソフトピアジャパンセンターを開会式・サテライト会場、大垣市情報工房をサテライト会場とする計画が示されています。具体的な展示内容、販売商品、イベント日程などの詳細は、今後の発表を待つ段階です。
大垣市は、豊かな地下水に恵まれた「水の都」として知られ、水まんじゅうをはじめとする独自の菓子文化を持っています。名古屋、京都、大阪などへのアクセスにも優れ、地域観光と菓子文化を結び付けやすい立地です。開催時期の9月は、栗きんとんや鮎菓子など、岐阜県内の各地の銘菓を紹介するうえでも意味のある季節となります。
2029年の入場料・チケット情報は発表された?2026年10月時点で、2029年大会の入場料やチケット販売方法、詳しい開催プログラムは、開催地決定の発表段階では公表されていません。2025年大会の料金をそのまま2029年大会の料金として扱うことはできないため、最新の公式発表を確認する必要があります。
開催前に確認しておきたい情報は、主に次の4点です。
- 入場券の前売り・当日料金と販売開始時期
- メイン会場とサテライト会場の配置、アクセス方法
- 受賞菓子や工芸菓子の展示内容、会場での販売商品
- 混雑予想、入場待ち、人気商品の購入制限などの案内
第28回大会では、人気商品の品切れや待ち時間が発生したことが報告されています。次回大会を訪れる場合も、チケットの価格だけでなく、販売方法や会場間の移動、購入したい商品の販売時間まで確認しておくと、当日の計画を立てやすくなります。
【全国菓子大博覧会に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:全国菓子大博覧会とは何ですか?
A1:全国の菓子職人やメーカーが菓子を出品し、展示・販売や品評会を通じて菓子文化と製造技術を紹介する全国規模の博覧会です。1911年に東京で始まり、全国各地で開催されてきました。
Q2:全国菓子大博覧会は何年ごとに開催されますか?
A2:おおむね4年に1度です。ただし、固定された周期ではなく、社会情勢などによって開催間隔が延びることがあります。2017年の三重大会から2025年の北海道大会までは8年空きました。
Q3:第28回全国菓子大博覧会の来場者数は何人でしたか?
A3:あさひかわ菓子博2025の延べ入場者数は26万1,336人でした。内訳はメイン会場15万2,980人、全国スイーツマーケット会場10万8,356人です。
Q4:全国菓子大博覧会の名誉総裁賞とは何ですか?
A4:全国菓子大博覧会で特に注目される賞です。一般菓子部門では「かもめの玉子ミニ」や「マスカットきびだんご」などが、2025年大会の受賞菓子として公表されています。工芸菓子部門でも受賞作品が選ばれています。
Q5:2029年の第29回全国菓子大博覧会はどこで開催されますか?
A5:岐阜県大垣市です。2026年8月に開催地が決定し、2029年9月14日から30日までの17日間が開催予定期間として発表されました。
Q6:2029年大会の入場料はいくらですか?
A6:2026年10月時点では、入場料やチケットの詳細は発表されていません。2025年のあさひかわ菓子博では大人の前売り券が1,200円、当日券が1,500円でしたが、2029年大会も同じ料金になるとは限りません。
Q7:全国菓子大博覧会の受賞菓子はどこで確認できますか?
A7:全国菓子工業組合連合会の「お菓子何でも情報館」や、各大会の公式発表、受賞した菓子メーカー・地域の菓子工業組合が公表する受賞一覧で確認できます。賞の種類と商品名を併せて見ると、一般菓子と工芸菓子の違いも分かりやすくなります。
全国菓子大博覧会は、1911年の品評会を起点に、100年以上にわたって全国各地の菓子文化を紹介してきた催しです。一般菓子の品評会では、全国のメーカーや菓子職人が生み出した商品に賞が贈られ、工芸菓子の展示では、食品としての菓子を超えた造形技術や芸術性を鑑賞できます。
2025年のあさひかわ菓子博は、延べ26万1,336人の来場者を集め、北海道の素材や全国の銘菓を発信しました。次回の第29回大会は2029年の岐阜県大垣市で開催される予定で、伝統と革新を組み合わせた菓子文化の発信がテーマに掲げられています。
受賞菓子を探す人は、名誉総裁賞などの賞名だけでなく、商品が生まれた地域や素材、職人の工夫にも目を向けると、菓子博の楽しみが広がります。2029年大会への来場を検討している人は、入場料や販売商品、会場案内の正式発表を確認しながら、全国各地の銘菓と出会う機会に備えておくとよいでしょう。